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@ 「おどろいた」 A 「きらいだ」 … <途中の話> … B 「ちょうヒット」 C 「作文製造機」 D 「どんぐさババア」 |
E 「同時ゴールの マラソン大会」 F |
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小学生の国語と作文
慧(けい)ちゃんは小学4年生(平成14年1月現在)。去年の8月から道場生となった。どんな生徒であるかは、読んでのお楽しみ。作文はファクスによってやり取りしている。その過程にはドラマがあった。まだ進行中であるから、いろいろな展開が期待される。それもお楽しみに。
最初は例によって、作文メモ用紙・「あんなこと、こんなこと」に、「いつ・どこで・何があったか」を、思い出すままに書いてもらう。
| 「あんなこと、こんなこと」 一、 「きれいだな」 @ 木曽路で見たビー玉 A 木曽で見た花 B びわこ 二、 「うれしいな」 @ ゲームを買ってもらったこと A ハリー・ポッターを読み終わったこと B マジック・アイで何があるかわかったこと 三、 「くやしいな」 @ 機械とパワプロ君をしてまけた A 弟とかけっこをしてまけた 四、 「こまったな」 @ 木曽路で近道がなかったこと A なかなか「こまったな」が思いつかなかったこと 五、 「ゆかいだな」 @ 友だちとプールへ行ったこと A 弟がはなぢで両方のはなにティッシュをつけたこと 六、 「おどろいた」 @ 弟におどかされた A ヤドカリがいなくなった |
これに対して、次の返事を送る。
| 「あんなこと、こんなこと」のメモが届きました。苦労したところもあったようですが、全部うまく書けましたね。これから、これらについて一つずつ書いていってもらいます。 次の予定を立ててください。 ・ 一週間に一つ書く。 ・ 「○曜日の○時に書く」と決める。 書く順番はこのとおりでなくてもかまいません。書きやすそうなものから選んでいってください。 さっそく始めましょう。なるべく、様子をくわしく書いてください。1回に1枚(400字)以上書くことを目標にしましょう。 それでは、1回目の作文を待っています。 |
最初に送られてきたのは「六のAの『ヤドカリがいなくなった』話である。
| 初めの作文 | 添削例・諸注意 |
| おどろいた ぼくの家は「ヤドカリ」をかってます。ぼ くの「ヤドカリ」はつるつるの貝に入ってま す。その「ヤドカリ」前にいなくなったこと があります。ぼくがえさをやりに来たときい なかったので、不思議に思って砂をほりおこ してもいません。そしてにげたと思って、外 をさがしても、いません。もういちど砂をほ りおこすと、なにか、かたい物が、手にさわ りました。ぼくは、えさ入れの、ジャムのふ ただと思いました。けれども、ジャムのふた は、外にあるので、なんだろうと思い、出し て見ると、ぼくの「ヤドカリ」でした。 見つかってよかったです。最初いなかった ときはおどろきました。 ぼくの「ヤドカリ」の貝は、色が砂の色と とてもよくにています。だから、ほりおこし ても、みつからなかったと思います。 |
← …かっています。 ← …入っています。 ※ 「ぼくが…」で改行。 ※ 「そして」を削除。 ← ジャムのびんのふた ※ この段落と次の段落を入れ換える。 ← 見つからなかったのだと |
作文(答案)には赤ペンで添削例や注意事項を書き込む。ここでは言葉で書いてあるが、上の「添削例」の、例えば「削除」は、実際の答案では二本線で消し、段落の入れ換えについても矢印の記号を付けて「入れかえる」と指示している。
答案にはこのほか「講評」を添付する。小学生には、下記のような手紙形式のものとなる。
| かわいがっているペットがいなくなったとあっては、さぞかしおどろいたことでしょう。その様子がすっきりと書かれています。点数にすると、80点くらいです。 ヤドカリをさがすところから見つかるまでのことが順序よくうまく書かれています。特によいのは、見つからなかったわけ(貝の色のこと)が書きそえられていることです。 言い回し(表現)について、何か所か直しておきましたが、必ずしもまちがいを直しているのではありません。こうすればもっと分かりやすくなるという例です。 これらを参考にして、もう一度書いてみてください。原稿用紙の使い方の練習にもなります。 題は、この作文では「ヤドカリ」、または「消えたヤドカリ」にするとよいでしょう。これからも、話にいちばんふさわしい題をつけてください。 書き直しができたら、ファクスで送ってください。そして、次の作文にとりかかってください。夏休み中に、もう一つ書きましょう。 8/22 ◎ 何曜日の何時に書く、と決めましたか。 |
書き直した作文は折り返し、その日のうちに届く。
| 書き直した作文 | 添 削 例 |
| 消えたヤドカリ ぼくの家は「ヤドカリ」をかっています。 ぼくの「ヤドカリ」はつるつるの貝に入って います。その「ヤドカリ」前にいなくなった ことがあります。 ぼくがえさをやりに来たときいなかったの で、不思議に思って、砂をほりおこしました がいませんでした。にげたと思って、外をさ がしても、いません。もういちど砂をほりお こすと、なにか、かたい物が、手にさわりま した。ぼくは、えさ入れの、ジャムのびんふ ただと思いました。けれども、びんのふたは 外にあるので、なんだろうと思い、出してみ ると、ぼくの「ヤドカリ」でした。 ぼくの「ヤドカリ」の貝は、砂の色にとて もよくにています。だから、ほりおこしても、 見つからなかったのだと思います。 見つかってよかったです。最初いなかった 時はほんとうにおどろきました。 ◎ 水曜日の午後4時 |
← …ほりおこしましたが、いませんでした。 |
1回目はまことに順調で、作文を書く日も時間も「水曜日の午後4時」と、ピタリと決まった。ところが、2回目からはさっそく「さあ、たいへん!」なことになる。
2回目は「木曽路」の話だろうか、「びわこ」の話だろうかと期待して待っていたところ、届いたのは次の作文である。
| 初めの作文 | 添削例・諸注意 |
| ぼくは、作文なんてきらいだ。何を書いて いいのかわかりゃしない。 ぼくは、勉強なんてきらいだ。間ちがえた らおこられる。 ぼくは、玉ねぎなんてきらいだ。苦い味が 歯にしみとおる。 ぼくは、ネズミなんてきらいだ。ねている 間にやねうら部屋におじゃまする。 ぼくは、すき焼きなんてきらいだ。甘くて 甘くていやになる。 きらいなこと、たくさんある。12345、 五つある。 きらいだ。きらいだ。やだやだ。 作文、紙ひこうきにしてとばしちゃえ。び りびり、やぶいちゃえ。丸めて、ボールにし ちゃえ。友だちの悪口書いちゃえ。 勉強、テスト、点数つけて、なにするんだ い。テスト用紙もらってきて、家でやって一 人中一番だい。 玉ねぎ、苦い、まずい、おいしくない。 ネズミ、チュ−チュ−うるさいねむれない。 すき焼き甘いまずい、おいしくない。 まずい、いやだ、もうやめた。 (以上、約500字) |
←※ そのわりには、よく書けている。 ←※ 虫歯があるのかな。 ←※ ネズミが出るなんて、今どきめずらしいね。大事にしよう。 ← 1、2、3、4、5 ← やだ、やだ。 ← 作文なんか、紙…… ←※ なかなかおもしろいことを思いつくね。 ← チュ−チュ−、うるさい、ねむれない。 ←※ よくここまで書いた。えらい! |
これが届いたのは、夏休みも終わり頃の午前の授業中のことだった。中味を読んで、ひとしきり座がにぎわった。その模様を書いてコメント代わりにする。
| 慧ちゃん、 この作文が届いたとき、小二の壮くんと小六のあやちゃん、それに、中一のゴリちゃん(淳くん)がいたのだが、ファクスの入る音を聞いて、壮くんが取りにいった。読みながらもどってきて、いきなり笑い出した。「おもしろ〜い」と言ってね。すると、「どれどれ」と、あとの二人がのぞき込んで、 「ネズミが出るんだって」 「すき焼きがきらいだなんて、かわってるなあ」 「さとうを少なくしてもらえば、いいのよね」 「玉ねぎを生で食べてるのかなぁ」 「やっぱり変わった人だ」 「でも、おもしろい作文だなぁ」 などと、代わる代わる感想を話していた。 楽しい楽しいひとときだった。ときどきはこんな作文もいいね。ときどきならね。
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作文が嫌いなのはほとんどだれも同じなのだが、はっきり書いたとあっては先が思いやられる。一筋縄でいきそうもない。そこで、ゴリちゃん(本名:淳くん)に助っ人を頼むことにした。これから、いろいろ指示をしていかなければならないが、「先生」が言うより、年齢の近い「先輩」が言うほうが聞き入れやすいこともあるだろう。淳くんは容貌からくるニックネームをすんなり受け入れ自称にするほどの鷹揚な性格でもある。ちょうどいいところにいてくれたものである。何かひとこと書いてくれと言うと、即座に上のように書き込んだ。
ところで、今回の作文には作文としては見どころもある。いやだと言いながら、けっこうたくさん書いている。書きなぐっているようでいて、最初の5項目は形が整っている上に、きらいな理由がそれぞれに付けられている。何かの資質の現れかもしれぬ。
