さくら



光る文章講座

公務員試験の小論文

―― 福祉職 ――
Kさんの場合
@「児童福祉と私」
A「これからの児童福祉行政」
B「公的介護保険制度」
C「都市の孤独」

Aさんの場合
@「すれちがい」
A「これからの児童福祉行政」
B「公的介護保険制度」
C「思いやり」

 公務員試験の小論文作文  入社試験の論作文 

 答案百花 総合案内  トップページへ


Kさんの場合

 Kさんは厚生労働省か東京都特別区で福祉の仕事をしたいと考えている。申し込みのメールに「卒論で教授に文章能力がないと散々言われました」とある。二度目の挑戦と察せられる。
 

@ 「児童福祉と私」

答  案 添削例・諸注意
 私が児童福祉に興味をもつようになった
きっかけは、児童相談所に通う子どもと一
緒に時間を過ごすボランティア「メディカル
フレンド」である。子ども達が抱える問題
は、友達関係を上手く築けなかったり、ち
ょっとしたことが原因で学校に行けなくなっ
てしまったりという、どの子にも起こり得る
ものだった。学校が生活の柱となるこの年
代、学校での友人づきあいに一喜一憂した
私にとって、子ども達の悩みはとても身近
なものだった。
 しかし児童相談所の実習で、家庭の問題
すなわち父母の不仲、離婚、経済的困難、
暴力、虐待等、幸運にも私は身近に感じる
ことが全くなかった事態に悩み苦しむ子ども
達の存在を知った。児童数が減少し、孤児
はほとんどいなくなった現在の豊かな日本
で、児童養護施設入所を待つ子ども達が大
勢いるということに大変衝撃を受けた。そし
てその児童養護施設では、私の実習先が
定員百六十名、都下最大規模の施設だっ
たこともあるが、十二人の子どもを実質二
名保母で面倒をみていた。いくら職員が努
力をしても、施設が目指す「家庭的な雰囲
気」とは程遠いものとなる。にも関わらずこ
の子ども十二人に対して職員二人体制は、
東京都の子ども六人に対し、職員一人とい
う基準を満たしていた。また、職員と子ども
が一軒家やマンションを借りて少人数で暮
らす、より家庭的な雰囲気が可能で虐待児
ケアに有効とされるグループホームは、一
施設に二つまでしか都の規制で作ることが
できない。これらは東京都の財政難の為だ
といわれている。もちろん施設に対する東
京都の資金援助も削減されている。従っ
て、体罰等もなく、施設側が子どもの生活
向上に努めている場合でも、子どもの環境
を最善なものにするのはなかなか困難で
あると思われた。施設を充実させることは
大変重要であるが、こうした状況を踏まえ
ると、施設入所に至る子どもの数を一人で
も減らすことが、子ども一人一人の幸せへ
の近道になるといえるのではないだろうか。
 子ども達が幸せに暮らすためには、まず
親の安定した生活が前提にあると思われ
る。そしてそのためには、社会全体の生活
の向上が不可欠であると考えている。人が
一生懸命に生きているのに幸せになれな
い、なかなか思うようにいかないという状況
には心を動かされ、また怒りを感じる。子ど
も達や様々な問題を抱えた人々の暮らしを
少しでも良くしたいという強い思いがある。
この思いを生かせるのは、人々の生活を今
より良い方向へ導くお手伝いを役割とする
ケースワーカーではないか。こうして私は、
将来的にはケースワーカーを目標としなが
ら、福祉の分野で働きたいと思うようになっ
た。
            (以上、約1100字)
← ……興味をもつようになったのは、「メンタルフレンド」という児童相談所にボランティアで行って、そこに通う子ども達と過ごしたことがきっかけだった。

※ 「学校が……年代、」を削除。「学校での……私にとって」は、下記の講評参照。

※ 「しかし」の前後の文は意味がひとまとまりになっているので、ここでの改行は不適。その次の文で改行。
← ……を知った。(改行) 現在の日本では児童数が減少し、……いなくなった。だから、児童擁護施設に入所を待つ……


※ 「いくら……ほど遠いものになる」は、後ろに回す。ここでは実情(事実)だけを述べる。(講評参照)








※ 「従って、……思われた」も同様、意見・感想・見解の類いは後ろでまとめる。









← ……不可欠である。私は、人が一生懸命に……感じる。



← ……生かせるのは、ケースワーカーの仕事ではないか。
※ ケースワーカーの役割を簡潔に示す。この段落3行目の「社会全体の生活の向上」と混同しないように。

 答案には赤ペンで添削例や注意事項を書き込む。それを逐一ここに転記することはできないが、一面かなり赤くなっていた。表現もさることながら、根本的に構成に難がある。このホームページには講座案内のところに「書き方」を載せてある。それを読んでから書いてくれればよかったものを、と思う。
 添削答案には下記の「講評」を添える。

講  評
一、内容と構成
  内容が未整理のため、児童福祉に対する関心がはっきり
 せず、抱負も説得力に欠ける。
  根本的に、事実と意見を書き分けること。まず、実情と問
 題点を明らかにし、これに検討を検討を加え、行政に提言す
 るなり、自分の抱負を述べるなりするとよい。

  〔構成例〕
  序論 − 第一段落 … 児童相談所での体験、実情
  本論 − 第二段落 … 相談所での活動を通じて知り得
                 た問題点
        第三段落 … 問題点の検討・考察
  結論 − 第四段落 … 児童福祉に対する抱負

二、表記と表現
  一文を短くする。長い修飾語(例えば、第一段落8〜10行
 目の「学校が……した私」、第二段落3〜4行目の「幸運に
 も……事態」等)は文脈を詰まらせているので、二文に分け
 るか、削除するかする)。
  その他、添削例参照。

○ ランク−C、得点ー60

 この講評と添削例を参考に、もう一度書いて送るよう、返信する。このときは郵便で送受していた。
 さて、どんな答案になって返ってくるだろうか。

(つづく)

もどる

噴水