公立中高一貫校入試の作文


――― 書き方講座 ―――

もくじ からどうぞ


小学生の作文  通学案内
作文ワールドT同U同V同W同X同Y
道場日記抄  トップページ


も く じ
はじめに 入試の世界の流れ
(お父さん・お母さん方へ)
第1章 出題の傾向と対策
第2章 問題例と答案例
1.課題だけの問題
2.文章による問題
3.絵や写真による問題
4.統計資料による問題
5.放送による問題
6.複合問題
第3章 作文のこころ

実践例「道場日記抄」
     Mar.4'07 の項参照
第4章 表記の基本
1.段落
2.句読点
3.文末表現
第5章 例文集

もどる



 はじめに − 入試の世界の流れ(お父さん・お母さん方へ)

高い人気  公立中高一貫校の人気が高い。例えば、都立の小石川中等教育学校は初年度(18年度)の入試倍率が12.3倍となり、いわゆる足切りをしたほどである。他の都立・区立で10倍前後、県立でも平均倍率が5倍となっている。これは、高校入試で倍率が2倍になると「厳しい」と見られることを考え合わせると、異常とも思われる高さである。

 この傾向は19年度も変わりはないが、さいたま市立浦和中のように、25倍に上ったところもある。
人気の理由  この人気の要因は、一つは「高校入試で苦労しなくても済む」ということや「効率のよいカリキュラムで大学受験に備えられる」ということにあるようだが、これらは私立の一貫校の場合も同様である。もう一つは、前半は義務教育期間であるため無償になるなど「経費があまりかからない」ということにも求められるが、私立との掛け持ち組が少なからずいることを考えると、決定的な要因とは言い難い。

 三つ目に考えられるのは、「ゆとりのある生活の中で大学受験に備えられる」ということである。まだ少し先のことであるにせよ、誰にも大学受験が学校生活の前提になっている。しかし、受験一辺倒の、ぎすぎすした生活にはしたくないのである。「部活や趣味も適当に楽しんで、大学進学を前提に必要な勉強をする」というところに、最たる要因が見出される。
生徒の実情  もちろん、進路の選択は小学生段階では親の判断によるが、このような心身のバランスのとれた生活に親子とも進路の理想を見出しているようである。いわば、「よく遊び、よく学び」である。
 事実、18年度入学の生徒について見ると、小石川校に合格の宗晃くんは発明学会賞を受けるほどの発明好きであり、また、同じく海くんはサッカーを続けながらジュニアオーケストラでチェロを弾いてもいる。

 同様に、現在全国各地で公立一貫校を目差している諸君には、部活や学校行事に積極的に参加したり、地域で野球やサッカーに取り組んだりしている生徒が多い。
 19年度の生徒についても、広島県立中に合格のS子さんは市周辺地区の楽唱コンクールやバスケットボール大会でチームを優勝に導く活躍ぶりであった。
父母の懸念  理想の生活を目差す一方で、「こんなことで、大学入試への備えは大丈夫か」という懸念は当然もたれる。これについては、今後の結果に待たなければならないが、成果を東大や早慶の合格者の有無で見るなら、宮崎県の五ヶ瀬中等教育学校のように、発足早々に結果を出しているところもある。
大学の変容  ただ、ここで考えておかなければならないのは、大学自体が変わってきていることである。
 慶応大学で始まったAO入試が東北大学や九州大学などの国立大学にも広まっており、また、何より大学の頂点に位する東大が地方へ説明会に出かけるなどして、大学が期待する高校生像に変化が見られることである。
 ―― つづく ―― (Jan.31,Feb.14 '07)
(参考記事)

※「東大の変容」については、「世事雑感」の「学力」の項参照。

※ 小学生の進路については「小学生の作文」の「交歓広場」の項、または、「道場日記抄」の「立春・迎春」('07)、「立春」('06)の項参照。

 期待される生徒像
 敬遠される生徒像
 東大が変われば、これに準じて他の大学も変わる。

 ところで、期待される高校生像とはどういうものか。
 東大を例にとれば、「新しいことや難しいことへの挑戦を避ける」生徒像を裏返せばよいのだが、自ら地方へ説明に出かけていることからすれば、それは「県立高のたくましい生徒」ということになる。

 いずれにしても、首都圏出身者と私立の中高一貫校出身者が敬遠の対象になっているのだが、これには、しかし、多少の注を要する。
 例えば灘や開成の方針やカリキュラムを見れば、必ずしもこれらの学校の生徒が敬遠の対象になっているわけではない。詳しくは稿を改めるが、ここでクローズアップされるのが予備校の存在であり、中でも、元凶とも言うべきは「難問集」と宿題の多さである。多くの生徒はこれによって精力を使い果たしていると考えられる。したがって、敬遠されるのは「ハードな作業を課す予備校に通う有名進学校生」ということになる。


※ これに関連して一つ注意しておきたいのは、どの学校でも、東大といえども、入試では70%の得点をすれば合格するということである。それを考えれば、20〜30%の難問にエネルギーを費やす必要のないことは言うまでもない。
 入試問題の変転  求める高校生像が変われば、入試の選考方法が変わることは当然予想される。その一つがAO方式の導入であるが、一般入試における顕著な変化は、思考力が重視されるようになっていることである。
 その変化は高校に、また、中学に波及する。これを開成高校の国語の入試問題において見ると、選択肢問題がなくなり、すべて記述式になっていることである。また、都立の進学重点校の自校作成問題を見ても、国語で記述が半分を占めているのはもとより、数学でも証明問題のほか、問題を解く過程を記述させるなどしている。すなわち、記述によって思考力を見ているのである。しかも、そこには特別な知識を要しない。教科書の範囲を出ることはない。
 つまり、入試には「基本知識と思考力」があればよい、ということになる。
 塾・予備校の功罪  塾・予備校は当面の受験には役立つ。しかし、その先の展望は、となると、必ずしもあるとは言えない。例えば、「学力」の項でも述べていることであるが、小学生のころから東大を目指して進学校受験に励んだが、大学の変化にまで目が行き届かなかったために、気がつけば行く手に赤門はなかったということにもなりかねない。

 首都圏の中学受験生は19年度で5万人を超えたと報じられているが、その大半の生徒は週3日の通塾、土日はテスト、他の日は宿題の遂行と、1週間が丸々受験勉強でつぶれているようだ。
 これについては、いろいろ懸念されることがある。集中力の持続と学習の効果、受験勉強で得た知識や技術の将来的な有効性、心身の発達過程での健康な体づくりと情緒の涵養の問題等々…。
 ついでながら、塾内のランクに捉われるあまり、周囲の見えなくなっている親子も少なくないようである。
―― つづく ―― (Feb.15'07)
 公立中高一貫校の内実  公立中高一貫校は、私立の中高一貫校に対抗して生まれたものである。
 平成10年6月、これに関する法案は中央教育審議会の答申に基づき国会決議を経て実施に移された。主旨は「中等教育の一層の多様化を推進し、生徒一人一人の個性をより重視した教育の実現を目指す」となっているが、審議自体は公立高校の劣勢を危惧する校長会の声が基になって行われたものであった。

 また、「中高一貫校がいわゆる『受験エリート校』化することや受験競争の低年齢化を招くことのないよう」となっているが、実施主体の学校が6年間のカリキュラムを組めば、目標は当然大学に向けられる。科学、芸術等の多様な展開は、それを根幹に図られるのである。

 さらに、「入学者の決定に当たっては、学力試験は行わず、面接、実技、推薦、抽選等の方法を組み合わせて行うこと」となっているが、どの学校でも「適性検査」という名の試験が行われ、「作文」が課されているのは周知のとおりである。
 適性検査と作文  適性検査の中に作文の含まれる場合もあるが、ここではひとまず作文を適性検査から切り離して考えることにする。

 適性検査の問題は「教科横断問題」、あるいは「総合学習の問題」とも呼ばれる。市場見学や野外観察などのストーリーに沿って、統計の読解や生態系の推理などの問題が出される。中にはパズルのような問題もあるが、必要な知識は小学校の学習内容で足りる。

 作文については第1章以下でくわしく見ていくことにするが、どんな出題も経験の範囲を出ることはない。
展 望  このように見てくると、公立中高一貫校入試で必要なのは「基本知識と思考力」であると言える。これは現在の入試の流れとも軌を一にする。
 生徒諸君は学校の勉強、ないしは教科書の勉強をしっかりやっていさえすれば、心置きなく部活や学校行事、地域活動に積極的に参加していてよいのである。

 生徒諸君! スポーツを楽しみ、勉強もしっかりやろう!
 
 作文道場はそういう諸君を全面的に応援する。
(Feb.17 '07)
 

もどる



 第1章 − 出題の傾向と対策

        (1)出題の傾向 … 問題のパターンと出題校
                      補足…文章の種類等
        (2)対策(概要)

(1)出題の傾向 … 問題のパターンと出題校

   問題のパターンは次の6つに大別される。

問題のパターン 出題校(出題年度・平成)
1.課題だけの問題  東京都立桜修館中(18)、静岡県立浜松西高付属中(16〜19)、新潟県立中5校(18)、京都市立西京高付属中(16)、兵庫県立芦屋国際中(18)、香川県立中2校(18)、愛媛県立中3校(18)、高知県立安芸中(18)、徳島県立中2校(18)、長崎県立中2校(18)
 ※補足1参照。
2.文章による問題  群馬県立中央中(18)、東京都立小石川中(19、18)、都立白鴎高付属中(19、18)、都立両国高付属中(19)、東京・千代田区立九段中(19、18)、静岡県立清水南高付属中(16〜19)、滋賀県立中3校(18)、京都府立洛北高付属中(16〜19)、府立園部高付属中(19、18)、京都市立西京高付属中(17)、和歌山県立中3校(18)、高知県立高知南中(18)、宮崎県立五ヶ瀬中(17〜19)、鹿児島県立玉龍中(18)
 ※補足2参照。
3.絵や写真による問題  東京都立桜修館中(19)、都立白鴎高付属中(17)、広島県立広島中(17〜19)、福山市立福山中(19)
 ※補足3参照。 
4.統計資料による問題  秋田県立中2校(18)、埼玉県立伊奈学園中(19)、さいたま市立浦和中(19)、山口県立中2校(18)、徳島県立中2校(18)
 ※補足4参照。
5.放送による問題  東京都立両国高付属中(18、17)、沼津市立沼津高付属中(18)、京都市立西京高付属中(19)、岡山県立岡山操山中(18)、広島市立安佐北中(19、18)、佐賀県立中2校(18)
 ※補足2参照。
6.複合問題  秋田県立中2校(18)、埼玉県立伊奈学園中(19)、さいたま市立浦和中(19)、広島県立広島中(19、18)、福山市立福山中(19)、徳島県立中2校(18)
 ※補足5参照。
○ 補足:文章の種類等 補足1
 課題には「『はげまし』について」、『友だちから学んだこと』「『未来の学校』について」等の短いものから、次のような、ある程度の長さのものまである。
 「現在、地球上には多くの環境問題があります。そのうち、空気中の二酸化炭素の量が多くなると、地球の温暖化が進み、地球の平均気温は1990年から2000年の間に1.4〜5.8度上昇し、世界の様々な場所で、さまざまな影響が起こるといわれています。
 あなたが小学校で学んだことやあなたが体験したことなどをもとにして、『ストップ温暖化』というテーマであなたの考えを自由に書いてください」

補足2
 文章の種類は、小説・物語、随筆、説明文、論説文、詩など、多岐にわたる。
 放送による問題でも、このような、いろいろな文章が使われている。

補足3
 絵や写真による問題では、昔の遊びや習俗の絵、環境・公害関係の写真が散見される。

補足4
 統計資料の主なものは環境関連、高齢社会関連、生活習慣関連のものである。

補足5
 複合問題には、文章と統計、放送と統計、会話文と統計、絵と手紙、絵と紀行文等の組み合わせのものがある。


(2)対策(概要)

   @ いろいろなパターンの問題に触れておくこと。
     必ずしも同じパターンで出題されるとは限らないため(例;都立白鴎高付属中、市立西京高附属中)。

   A いろいろな体験・見聞を一つ一つ作文にまとめておくこと。
     どのパターンの出題でも、自己の体験をもとに考えを述べることになるため。

(Apr.15)

もどる


 < つづく >

 第2章 − 問題例と答案例


もどる

 作文ワールド(T)・ U ・ V ・ W ・ X ・ Y
「小学生の作文」  「通学案内」  「道場日記抄」  トップページ